新卒で入社した楽天を退職します

2017年4月に新卒でエンジニアとして入社した楽天株式会社を6月末で退職しました。9月からは香港科技大学のコンピュータ・サイエンスの大学院に進学します。働いていたのは期間にして15ヶ月と短く、初めての就労体験かつ経済学部出身で技術的な知識にムラがあったのもあって貢献らしい貢献はできなかった気もしますが、せっかくエンジニアとして働けたのでエンジニアらしく、楽天で勉強になったこと、辞めるきっかけと留学の話を退職エントリとしてまとめようと思います。


楽天で何をしていた?

ご存知のように楽天にはメインの楽天市場のほかにもサービスがあり、そのうち1つのバックエンドの開発と最後にすこしだけ運用に関わっていました。新人研究というものはなくいきなり現場に投入されましたが、とちらかというと慣れるまでの期間が長かったので現場で華々しい活躍をするには15ヶ月は短すぎ、あまり大々的にかけるような業績はないです。こまごまといろいろやりましたが、ログイン周りのセキュリティを保ちつつUXを改善するプロジェクトを手伝ったり、TLS 1.2への移行をやったり、ISMSの対応をしたりとどちらかというとセキュリティに関わるような仕事が多かった気がします。


就職前も趣味でコードを書くことはありましたが、職業エンジニアとして働いてみて趣味のコーディングでは絶対勉強できないようなことを勉強できました。

webサービスならではのネットワークやセキュリティ、大規模なコードをチームで運用するためのレビューやgit、エラー対応などいろいろ経験できましたがそのなかでも特にテストが一番ためになったというか面白かったです。趣味レベルのプログラミングではあまりテストを意識してこなかった、というかそもそもテストという概念にほとんど触れていないレベルだったので結構新鮮でした。どんなテストで何を検証して品質を担保するかというようなテスト工程から、本番で問題が起こったときになぜステージ環境で検出できなかったのかというような見直しまでやる機会があったのは結構経験値を貯めれたな、という感じです。と同時にテストの実施で地獄の単純作業も味わったのでテスト自動化とか定理証明といった分野に新しく興味ある分野ができたりもしました。


あとは明確にこういった技術を身につけた!というとはちょっと違いますが、ビジネスとして開発をする者ならではの視点というか働いてみないと得られないような観点も新鮮なものが多く、けっこう面白かったです。たとえば、あるプロジェクトの工期を短くする方法として割とアンチパターンっぽい解決策が議題にのぼったときには、ベテランのプロジェクト・マネジャーが「この設計によって今後のプロジェクト開始時の影響調査の負担や、業務時間外のエラー対応がふえる。これは将来に禍根を残す開発だ」と猛反発していて、こういう技術選択の視点はなかなか働いてみないと身につかないよなあと思ったり。


余談:楽天の労働環境

ちなみに本題とは離れますがどうも世間的に「楽天はブラック」という噂が広まっているようです。知人に辞めることを話すと「こんなに早く辞めるなんてやはりけっこうアレなのね」みたいな反応がそこそこありました。が、実際なかで働いてみると技術職についてはそういった印象はないです。新卒の給料には(厳密に言うと入社時の能力などで制度上そうならない人もいるけれど)40時間のみなし残業代が含まれていますが、自分は5時間以上は残業したことがないですし、他の同期でも最瀕値は20時間位でしょうか。


もちろん技術職と一言でいっても当然部署によって様々で、中には部署の偉い人が実現できないようなリリーススケジュールを誤って発表してしまったために地獄のような労働時間に見舞われた部署もありますし、仕事が楽しくてそれほど残業が苦にならないような人が集まっている部署もあるのでなんとも言えないです。ただこういう40時間超の長時間労働をしている人たちでもみなし残業以上の残業にはきちんと割増賃金が支払われ、いわるゆるサビ残は知る限りないことは付け加えておきます。


辞めるきっかけ

タイトル通り辞める直接の理由としては大学院への進学になります。ときどき社会人としての生活に嫌気がさしたのかと聞いてくるような人もいますが、上に書いたように労働環境としてはよく、やや長期的なキャリアや技術の取得面で不安はありましたがまだまだ現場でできることも多く、職場への不満は大学院への進学を決める理由ではないです。


実は学部生時代から私はもともとアカデミック、とくに海外での研究に関心がありました。

ただ当時はまだ正規留学の準備ができていたわけではなく闇雲に出願してもあまり望む研究環境のある大学には合格できる自信はありませんでした。加えて仮に3月に卒業してストレートでその年の9月に入学できたとしても半年間何もしない時間ができてしまう。ならいっそ2−3年働いて業務で使うような知識を身につけつつ受験の準備をプライベートで進めて納得のいく進学をしよう、という目論見でそもそもの新卒時の就職活動をしていました。なのでこれほど早く辞めることになったのは想定外としてもキャリアプランとして当初描いていたとおりで、社会人としての生活とか会社とかへのネガティブな思いはないです。


なぜ2−3年働く予定がこうもはやくなったのかというと、どうしても働いていると目の前の問題に気が取られることが多く進学の準備もなかなか満足にすすめられず「このままズルズルと進学の機会を失うのではないか」という不安からとりあえずいくつか受けたら一つ受かってしまったからです(笑)

キャリアとしては技術者としても研究者としても考えていますがどちらにしても修士号や研究活動はプラスなのでキャリア的にも問題なく、また奨学金を獲得できたのでめでたく経済的にも問題なく、満を持して進学のオファーを受けることができました。


香港科技大学では何をする?

専攻はコンピュータ・サイエンスになります。

所属している研究室は分類としては人工知能になりますが今流行りの機械学習やディープラーニングによる人工知能ではなく、論理学やゲーム理論を用いた人工知能がテーマになります。経済学部出身で理論経済学にあこがれてきた身としてはゲーム理論にかかわる魅力的なテーマがおおく、逆にあまり経済学から工学に転身したという気はしないです。まだ教授と一回面談したくらいでおよそ研究活動と呼べるようなものはしていないですがゲーム理論系の論文をよみはじめています。